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YES通信 2018年8月号 VOL62(糸島学習塾YESより大切なあなたへお届けします)

シンギュラリティとエクスポネンシャル

私がシンギュラリティという言葉を知ったのはつい最近のことで、今月の書籍紹介コーナーで紹介した「AI vS.教科書が読めない子どもたち」を4カ月程前に読んでからです。

もうすでにご存じの方も多いかもしれませんが、私もいろいろとそれから調べたら、幻冬舎さんのサイトにとても詳しく書かれていたのでその一部をシェアしたいと思います。

シンギュラリティがメディアに良く取り上げられるようになったのは、ソフトバンクの孫正義氏が2016年6月に、AIの進化について熱弁をふるい、「シンギュラリティがやってくる中で、もう少しやり残したことがあるという欲が出てきた」と、シンギュラリティが孫氏の社長続投の理由であったということです。以後、数年前まではごく一部の人たちしか知らなかった「シンギュラリティ」という言葉が一般に注目されるようになったそうです。

「シンギュラリティ」という概念が定着したのは、米国の発明家であり未来学者、AIの世界的権威であるレイ・カーツワイルの影響が大きいと言われています。カーツワイルは天才の中の天才ともいうべき人物で、持っている博士号の数は20以上。2012年からは、グーグル社でAI開発の技術責任者を務めています。

過去に3人の米国大統領からホワイトハウスに招聘(しょうへい)された方なのです。

カーツワイルは著作のなかで、ある予言をしています。

それは、「技術的特異点」と呼ばれる現象が、2045年に起きるということ。これこそが、孫氏が「見たい」といったシンギュラリティにほかなりません。

シンギュラリティは、もともと「特異点」を意味する言葉です。数学や物理学の世界でよく使われる概念です。このことを日本では、「AIが人類の頭脳を追い越すポイント」だとわかりやすく表現している人が多いようです。

ただ、このようなことが本当に起こるのかどうかについては賛否両論あり、今月の書籍紹介コーナーで紹介している新井氏はAIが人間を超えることは決してないと書いておられます。

しかし、本当の問題はAIが人間を超えるかどうかではなくそれぐらいの勢いでAIが進化していることなのだそうです。カーツワイルはそのことを倍々のスピードで加速すると表現したそうです。

エクスポネンシャルという言葉があります。日本語に直すと指数関数的という意味です。一枚の紙を2つ折りにしてさらにそれを2つ折りにする、そしてさらに・・・・と続けていくとあっというまに折り曲げられないくらい分厚くなってしまします。計算上では0.1ミリの紙を51回折り曲げると地球から太陽までの距離になるのだそうです。

食中毒の細菌も夏場は盛んに分裂して増殖するので倍々ゲームで増えていきます。だからこの時期は食中毒が増えるのですが、まさにそのような勢いでAIが進化しているからこそシンギュラリティが話題になっているのです。

2045年になったら私は82歳です。

中3生だったら42歳で一番脂がのっている年齢だと思います。私はぎりぎりその時代を見ることができるかどうかですが、生徒たちはまさにその時代を生き抜いていくはずなのです。

自動運転は当然のこと宇宙旅行や瞬間移動のような夢のようなことがあたりまえになっているかもしれません。もしかしたら、発展した技術を悪用され地球が滅亡しているかもしれません。それほど激動の時代を迎えるということなのです。

20年前にスマホがこのように当たり前になることをどのくらい予想出来ていたのでしょうか?これからはまさに予測不能の未来が待っているのです。

そんな意味でもこのシンギュラリティとエクスポネンシャルという言葉には注意を払って欲しいと思います。
時代の波にのみ込まれるのではなく、時代の波に乗れるように日々準備を重ねていきたいものです。そのためにもアンテナを高くしておきたいものですね!

学べば則ち固ならず

そろばんの授業で丹田音読を始めて1年以上が経過しました。1年間継続することでほんの少しかもしれませんが論語が身近な存在になってきたような気がしています。

今月音読している論語は「学べば則ち固ならず」です。学ぶことで人間はいろいろな考え方が出来るようになり、柔軟な対応ができるようになるという意味で、まさに勉強の本質を詠んでいる言葉だなあと思います。

今年、九大の院生が2人いるのですが、一人は新日鉄、もう一人はコクヨに就職が決まりました。去年は一人はトヨタ、もう一人は日産でした。いつも身近に九大生がいるからか、こんな彼らの就職状況を見て本当に羨ましいなあと思っています。

やっぱり九大生の就職する所は総じてレベルが高いなあと感じています。なぜなのでしょうか?

その理由がまさに「学べば則ち固ならず」なのではないかと思うのです。

知識は力です。自分では解決できないような問題も専門家に頼んだらすぐに解決することも沢山あります。医者や弁護士の価値はまさにそのようなところにあるのでわかりやすいと思います。

しかし、このことは普通のサラリーマンにでも当てはまるのです。学習意欲の高い人は何でもすぐに吸収していきます。企業における問題解決もやはり知識や経験に基づき多くの選択肢を持った人が解決の糸口を発見していきます。
私達は生きていく上で、なんらかの判断、決断をしないといけない場面が何度も何度も出てきます。その時に知識が少ないということはその判断の選択肢が少ないということです。

もし、ある課題を解決するにあたって、一つの選択肢しか持たない社員と10の選択肢を持った社員とでは、どちらの社員の方が問題解決できる可能性が高いでしょうか?選択肢の多い社員の方が上手くいく確率が高いことは容易に想像できると思います。

九大生というブランドはある意味そのような選択肢を多く持っている人材、そして受験戦争を勝ち抜いてきた力を発揮して、今後もより多くの知識を習得して問題解決してくれる可能性のある人材として評価されているのです。

この論語を読んで、私が初めて就職した企業の部長さん(唯一の九大卒の方でした)が、当時新入社員だった私に何度も繰り返してこんなことを話されていました。「この缶コーヒーは真上から見たら丸やけど真横から見たら長方形にに見えるやろう?見る角度によっていろんな形に見えるとぞ~いろんな見方が出来るようにならんと、同じ方からばかり見よったら何事も上手くいかんのぞ」その見方を増やすことこそが学びなのだと改めて思う今日この頃です。

書籍紹介 AI vs.教科書が読めない子どもたち  新井紀子著

受験改革に関して今後のことを考える上で是非読んだ方が良いと教材会社の方やコンサルタントの方がお勧めされていた本です。著者は「東ロボくん」という東大合格を目指すロボットの開発に直接関わっておいでの数学者新井紀子氏です。

もはや「東ロボくん」はMARCH(明治、青山、立教、中央、法政)レベルに達しているそうです。

ただ、東大レベルに「東ロボくん」を飛躍させるにあたっての一番の壁が国語力なのです。それだけ人間の言語能力というのは高度なのです。

しかし、肝心の我々人間の国語力がどんどん低下していることが大問題だと問題提起されています。

なんと、最近の学生の中には教科書がまともに読めない生徒が増えてきているのです。

20世紀までは日本は総中流社会といわれ大企業に入社すれば全員が家族を養う経済力を持つことはもちろんのこと家を建てることだってそんなに難しいことではありませんでした。

しかし、21世紀に入って世界で一番格差がない国と言われえている日本でさえ格差が広がり始めています。AIの進化でさらに格差が広がると予想されるからこそ、人間がAIに勝つために必要な国語力を養成する必要性があるようです。

また、ロボット製作の最先端技術者が書いた本だけあってAIの得意なところ不得意なところをわかりやすく解説してあるのでプログラミングに興味のある方にもお勧めの1冊です。

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